Insight時代を解くキーワード Presented by 関西電力
| HOME | このサイトについて | メルマガサンプル | 談話室 | 配信申込・解除 | お問い合わせ・ご意見 |
関西電力HPへ 関西電力HPへ
Main Column Break Close up エナジー News Clip 関西電力 講堂(イベント/セミナー)
 

Close up エナジー
 

「電力会社が『国際』事業展開?」

2004.01.01
山本純也



 企画室国際事業グループ
 チーフマネジャー 山本純也



電力会社は地域密着のドメスティックな会社、というのはひと昔前の話。関西電力はアジアを中心に、世界各国で「事業」を手掛けている。その狙いと現状、今後の展望は?──企画室国際事業グループの山本純也・チーフマネジャーに訊いた。

──関西電力はいつから海外で事業を行っているのか? //////////
国際事業の第1号は、フィリピンのサンロケ多目的ダムプロジェクトだ。関西電力は96〜97年から海外事業展開を考え始め、いろいろな案件を検討していたとき、サンロケプロジェクトに出資している会社から声がかかった。これが98年。当社に声をかけたのは、水力発電といえば黒四(くろよん)、黒四といえば関西電力というイメージがあったからだとか。我々としても、本業で培ったノウハウが生かせ、収益も確保できそうだということで、第1号として取り組むにはうってつけのプロジェクトだと判断し、参画した。

──以来5年、どんな事業を行ってきたか? //////////
サンロケ以後、ほぼ年1件のペースでプロジェクトへの参画を行っており、現在までに5件手掛けている。第2号は東欧諸国でのESCO事業に対する基金への出資。第3号は、当社で使わなくなった火力発電所のガスタービンをアメリカに持っていき、西海岸で発電事業を行うもの。第4号は台湾でのLNG基地の建設事業。そして第5号は2003年、タイの工業団地に熱と電気を供給している発電事業者への資本参加。現地の工業団地に熱と電気を供給している。また、これら5つのプロジェクト以外に、コンサルティング事業も行っている。例えばシンガポールでは、火力発電所を石油焚きからオリマルジョン焚きに変えるための改修技術のコンサルを行っている。ミャンマーでは水力発電所の計画から設計・施工監理までのコンサルを請け負い、今も現地に当社の社員3人が常駐。ミャンマーの人たちと一緒に汗を流している。

──これらの国際事業の狙いは? //////////
もちろん事業である以上、収益を上げることが大前提。ただし我々にとって儲けるということは、金を出して株を買い、株価が上がればOK――ではない。国内で培ってきた技術・ノウハウを海外で生かすこと、つまり当社の「技術を売る」ことも大きな目的だ。ただ出資するだけでなく、ほぼすべてのプロジェクトで現地に駐在員を派遣しているのも、技術を提供するため。私自身、サンロケプロジェクトが本格的に動き出した99年1月から2002年7月までの3年半、フィリピンに駐在したし、2003年5月の運転開始後も、社員1人がオペレーションの指導のため残っている。また東欧にも現在1人が常駐し、ESCO事業のノウハウを伝えているし、逆に他の国でしか学べないことを精一杯吸収してくるよう心がけている。

──関西電力が海外に「売れる」技術とは? //////////
一番の強みは「オペレーション(運転)」や「メンテナンス」の経験。つまり、運用上の問題点を把握しており、設計に反映させるノウハウがあるということだ。普通のエンジニアリング会社やコンサル会社は、設計はできても運転経験がないから、それができない。机上の空論でなく、50年間、実際に発電所を運用し、苦労を重ねたなかで身につけた技術の一つに、RBM(リスクベースメンテナンス)という技術がある。これはシステムの中のどのパーツが故障したらどういう影響があるかを分析評価する技術手法で、故障の重要度や影響度合いに応じた効率的な点検に役立つもの。実はつい最近も、このRBMのノウハウが認められ、中国の火力発電所のコンサル事業を受注した。 水力の開発も特殊技術といっていい。日本は現在の9電力が誕生した1951年以来、河川一貫開発──一つの河川は一つの電力会社が開発するという政策でやってきたため、日本の電力会社は川のどの部分にダムをつくり、発電所はどこに置けば最も効率的か、よく知っている。これも普通のコンサル会社には真似のできないノウハウだと思う。

──サンロケプロジェクトは米国企業などとのJV方式だったが、組織文化の違いなど感じたことは?
少額出資ということもあり、サンロケ自体にベストと思うことを主張しても、なかなか意見が通らないもどかしさはあったが、当社のTQC、バランスのとれた品質管理の高さをしばしば実感することができた。米国企業には目の前の問題しか見えない人が多く、各人がそれぞれのパートしか念頭にないから、工程の連絡も調整も上手くいかず、イライラしたこともしばしば。その点では我々の方が、全体を見渡してトータルに品質管理する能力に長じているという印象を持った。 しかしその反面、彼らは自分のパートに関しては徹底したスペシャリストで、自信と経験を積んでいるから、問題が起きたときの対処も非常に早い。一方、経営に携わるトップは真のゼネラリスト。土木も電気もファイナンスもリスク管理も、なんでもわかるから、大概のことは1人で決断してしまう。合議主義の日本人には、なかなかそこまでできない。この辺りは我々の今後の課題だ。

──電力会社の社員が、海外で仕事をする際、必要な能力とは? //////////
ベースとしての「技術力」の理解に加え、「コミュニケーション能力」、そしておおらかで前向きな「マインド」だ。あまり小さなことは気にせず、仕事を楽しみ、事業を広げるにはどうすればいいか、もっと新しいことはないかと、1人でどんどん突っ走るくらいの方がいい。私自身も3年半の経験で、アメリカ人ほどではないにしろ、なんでも1人でやる癖がついた。おかげで日本に戻ってからは「周りへの気遣いが足らん!」と叱られているが(笑)。
当たり前のことだが、仕事のやり方も、物事の価値観も国によってさまざま。日本人とアメリカ人、オーストラリア人、フィリピン人、みんな考え方は違うし、世界に唯一の価値観などない。それを踏まえたうえでないと本当のコミュニケーションはできないと実感させてもらった。

──海外事業展開の今後の計画は? 2004年の目標は? //////////
関西電力全体の収益が約2兆5000億円あるなかで、海外事業への投資額は1%にも及ばない。その投資もまだ回収できていないのが現状。経営に貢献するには程遠い状況なので、まずはもっと収益性を重視し、5つのプロジェクトにきっちり対応することで、海外事業を「重み」のあるものにする。
そのうえで、新しいプロジェクトにも積極的にチャレンジしてゆきたい。これまでもアジア、アメリカ、東欧とさまざまな地域に行っているが、今後もカントリーリスクは十分考慮しつつ、より幅広い地域を視野に入れて活動を続けていく方針だ。 世界は広い。国内の電源開発は頭打ちだが、海外にはまだ発電所を必要としている国──我々のノウハウを生かせる場はいくらでもある。技術者にとっても、自らの力を発揮できるチャンス。今後、海外事業に参画したり、自ら企画する者が増えれば、プロジェクトの良否を見抜く目も養われ、事業の拡大につながるはず。そうした人材の育成も、今後さらに積極的に行っていきたい。■



Columnカテゴリ検索
政治・外交
経済・経営
社会・生活
文化・文明
科学・技術
電力・エネルギー
関西
サイト内全文検索
バックナンバー
Insight時代を解くキーワード
Copyright (C) 2002-2008 KEPCO THE KANSAI ELECTRIC POWER CO., INC.