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「プルサーマルは今、どうなっているのか?」

2003.12.01
高杉政博・原子燃料部長



 関西電力原子力事業本部
 原子燃料部長 高杉政博



4年前の1999年12月、MOX燃料のデータ不正問題で中断した、関西電力のプルサーマル計画。プルサーマルは今どうなっているのか──高杉政博・原子燃料部長に訊いた。

──そもそも「プルサーマル」とは何か? //////////

プルトニウムを今の原子力発電所(熱中性子炉=サーマルリアクター)で使うのが「プルサーマル」だ。今の原子力発電の燃料はウランだが、一度燃やした使用済み燃料にはプルトニウムが含まれており、再処理すれば繰り返し燃料として使うことができる。プルサーマルは、このプルトニウムと劣化ウランを1:9の割合で混ぜ合わせたMOX(Mixed Oxide)燃料を使って発電する。劣化ウランとは、天然ウランから濃縮ウランを取り出した後に残ったウランのこと。普通なら使い道はないが、余っているから使う。つまりプルサーマルの燃料は、すべてがリサイクルによってつくられているわけだ。

──なぜプルサーマルを実施する必要があるのか? //////////
プルトニウムは、使用済みのウランから生まれる準国産の、自前のエネルギーだ。仮に今、日本国内にあるプルトニウムを全部使えば、原子力発電所で使うウランの約4分の1をまかなえる。資源小国の日本にとって、これを使わない手はない。もちろん核不拡散の観点から使用済み燃料、つまりプルトニウムをあまりたくさん貯めておくわけにはいかないから使う、という面もある。しかし日本としてはあくまでも、せっかくあるプルトニウムをエネルギーとして有効利用することが重要だ。
また、プルサーマルが具体化すれば、ウラン資源を繰り返し有効に利用する「原子燃料サイクル」の完結に向け大きく進むことになる。ちょっと誤解があるのは、もんじゅ事故で高速増殖炉がつまずいたからプルサーマルを始めるわけではない。もともと軽水炉と高速増殖炉、両方で使おうと研究してきたもので、今ようやく軽水炉での使用が実現しつつあるということだ。

──安全性や経済性についての問題は? //////////
ウランと違って放射能レベルの高いプルトニウムは、それだけ扱いを厳重にしないといけない。そこに「安全でない」と見られる理由がある。また発電用燃料として使うとき、ウランとプルトニウムでは挙動が異なるため、危ないイメージがあるようだが、物質だから当然性質は異なる。性質に合うよう使ってやればいい。今の原子炉の中でも燃えないウランがプルトニウムに転換して燃えているわけで、その割合を少し増やすだけ。全燃料の3分の1くらいをMOX燃料にするだけだから、特に原子炉の仕様を変えなくても、安全上問題はない。
コストは、今はやや割高だ。何でもそうだが、少量だと高い。ただ、高いといっても使用量が少ないので、発電費用全体への影響は小さいし、今後大量に使うようになればウランと同程度までコストは下がると思う。

──プルサーマル計画は今、どうなっているのか? //////////
プルサーマルは、10年以上前からフランス、ドイツなどヨーロッパ各国で行われていて、別に目新しい技術ではない。日本では1999年、関西電力が他社に先駆けて高浜発電所で始めようとした矢先に、MOX燃料を製造していたBNFL(英国原子燃料会社)での燃料データ改竄問題が判明し、その燃料の使用を中止、計画が止まってしまった。既に荷揚げしていた燃料の返還手続を終え、ようやく英国に送り返したのが昨秋。今後また燃料の製造契約から始めるわけだから、随分遅れてしまったことは確かだが、先ごろ閣議決定された国のエネルギー基本計画でも、プルサーマルを「当面の中軸」として着実に推進することが明記されており、我々も改めて実現に向けて努力したいと思っている。

──BNFL製MOX燃料データ改竄問題とは? //////////
BNFL社の作業員が、MOX燃料の品質検査で、決められた測定を行わず、他の測定済みのデータを流用した。本来は自動で測ったあと、もう一度手作業で測ることになっており、我々にすれば当然のダブルチェックだが、作業員は「二度も測るのはムダ」と思ったようで、手作業の検査をせず別のデータをコピーしてごまかしていた。検査がいかに大事か、その意識が欠けていたんだと思う。しかし我々自身も、国内の元請けメーカーに任せ、直接BNFLへの関与が薄かったことを、大いに反省しないといけない。
関西電力としては、今後こうした問題の再発を防ぐため品質保証活動を見直し、2003年10月、その改善状況を国や地元福井県に報告した。

──その品質保証活動のポイントは? //////////
ポイントは大きく2つある。1つはメーカーの指導・監督を強化することだ。同じ過ちを繰り返さないよう、メーカーへの要求事項を明確にし、海外燃料メーカーへも直接出向いて常駐し、自ら確認を行う。もう1つは社内体制の強化だ。我々自身が組織的に品質を保証できるよう、システムやルールを改めた。つまりメーカーに要求することと、我々自身がやるべきこと、両方が対になった品質保証のしくみをつくった。さらにこうした活動について、ISO9001の認証機関であるロイド社にも確認してもらい、これで今後きちんとできると判断し、報告書にまとめて提出した。

──推進スケジュールについてはどう考えているか? //////////
2004年3月までには発注先を決め契約したいと考えているが、「まずスケジュールありき」ではいけない。一度つまずいたわけだから、しっかりとステップを踏んでいくことが大切だ。みなさんに「これで行けますね」と言われて初めて次の燃料がつくれるわけで、まず報告書について、ご理解いただくことが先決だ。私自身、いつでも地元にご説明に伺えるよう用意している。
そして発注先が決まっても、我々の依頼内容と製造現場との具体的な調整に時間がかかるだろうから、実際に発電を始めるのは2007年頃になるのではないか。一つずつ必要なことを着実にやってから次へ進みたい、と思っている。

──では今後の抱負は? //////////
長く原子燃料サイクルに関わってきたが、正直なところ今が一番の正念場と思っている。プルサーマルも動いていないし、六ヶ所村の再処理工場も運転開始が遅れている。しかし、なんとか原子燃料サイクルを完結させ「日本はできる」ことを証明したい。資源の乏しい日本が国際社会を生き抜いてゆくためにはどうしても技術力が必要だ。資源がなく技術もないのでは、海外との交渉で足元を見られてしまう。日本のステイタスを向上させるためにも、ぜひ原子燃料サイクルを完結させたい。■



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