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内田 樹
内田 樹

うちだ たつる 神戸女学院大学文学部総合文化学科教授(フランス現代思想、映画論、武道論)
1950年東京都生まれ。東京大学文学部卒、東京都立大学大学院人文科学研究科仏文学専攻博士課程中退。東京都立大学助手、神戸女学院大学助教授を経て、教授。著書「ためらいの倫理学」「『おじさん』的思考」「寝ながら学べる構造主義」「大人は愉しい─メル友おじさん交換日記」「レヴィナスと愛の現象学」など。合気道6段。


■おじさん的常識(1)
「いまどきの若い者について」

2002.11.01

いまどきの若い者は…というのはおじさんの愚痴の枕詞である。 枕詞というのは、それを「まくら」に振ると、そのあとの文がよどみなく出てくるという便利な仕掛けだから、ストックフレーズを開陳するにはたいへん具合がよろしい。だが、独創的な見解というものが枕詞から導き出されることはまれである。

「最近の若い人について、どう思いますか?」と訊ねられると、だが、どうしても、その枕詞から始めるしかない。そういう場合は、口から出かかった言葉をまず呑み込んで、「それとは逆のこと」を言うようにしている。 「実に頼もしいかぎりです」 実際そう言ってみると、なんとなく「そういう気」になってくるのが不思議である。

さっぱり勉強しない大学生やフリーターのことを悪く言う人が多いが、彼らはあれで失業率を低く抑えることに多大の貢献を果たしているのである。 ミュージシャンや漫才師やダンサー志望の若者がやたらに多いことを難じる人がいるが、「自分のことより、とにかく人々を楽しませる仕事をしたい」という心がけでやっているとしたら、なかなか見上げたものではないか。 汚い格好でじべたに座り込んでいる連中への視線も冷たいが、あれはやがてくる晩年のホームレス生活に備えて心構えに怠りないと言えないこともない。

総じて、当今の若者たちは、来るべき「あまりぱっとしない日本の未来」に順応すべく、貧しく、つつましく、しかし、それなりに互いに扶助し合うような生き方のモデルを模索しているように私の眼には見える。そういう「時代の流れ」は、若者個人の意思や決断とはかかわりなく、いわば同世代全体を包み込むようにして、ある方向へと押し流して行くものである。そして、日本が向かっているその「方向」についての若者たちの未来予測は、大きくは外れていないように私には思えるのである。■



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