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村澤 博人
村澤 博人

むらさわ ひろと 顔・化粧文化研究所所長
1948年長野県生まれ。埼玉大学理工学部化学科卒。ポーラ化成工業研究所入社。ポーラ文化研究所設立に参画、同研究所「化粧文化」編集長、主席研究員などを経て、2002年独立。化粧文化史家、化粧文化エッセイスト、日本顔学会理事、国際服飾学会理事をはじめ、立教大学・日本大学・聖心女子大学・松蔭女子大学などの講師も務める。主著「美人進化論」「顔の文化史」「これが『わたしの顔』」など。

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■外見と美の研究(4)
「小顔ブーム――顔は小さくなったのか」

2003.03.01

「小顔」という言葉がブームになって使われはじめたのは5年ほど前だろう。日本顔学会(1995)が設立して間もないころ、学会内でも話題となったことを憶えている。

このブームの背景には安室奈美恵さんなど当時の人気スターの小さな顔にあこがれる女性が増えたことが一般に語られ、少しでも顔を小さく見せるために、顔の輪郭を引き締める効果の化粧品が売り上げを大きく伸ばした時でもあった。

「小顔」は「痩身」と同様、女性にとっての最大の関心事の一つとなった。数年前にはさらに小さいという意味で「豆顔」なる言葉も登場し、男性も小顔がよいとされるようになった。かつては顔が大きいことは「役者顔」と表され、舞台の上に立っても客席から顔の表情が読み取りやすいという意味で、ほめ言葉だったはずだが、いまは似合うファッションが少ないと否定されてしまう。

顔学会ではこのブ−ム以前に、未来人の顔として科学雑誌に掲載されていた下顎がきゃしゃで、顎の尖った顔のCG画が有名である。東京国立博物館人類研究部部長の馬場悠男先生の指導で、東京大学工学部教授の原島博先生がコンピュータで作成。日本人の食生活が今のように柔らかいものを食べる習慣が続くと、「あと100年もすれば、平均的な日本人の顔は今より20%は幅がせまくなり、また上下に長く、奥行きが小さくなるだろうと予測される」(原島博・馬場悠男著『人の顔を変えたのは何か』河出書房新社1996)と解説されている。

小顔ブームに絡んでは、ずばり絶対値として小さくなったのかという疑問が浮上した。この問いに対して、東京慈恵会医科大学の竹内修二先生は「東京矯正歯科学会雑誌」(第11巻第1号2001)で明確に記している。かんたんに紹介しよう。

たとえば、身長で考えてみる。過去50年で17歳男子は10cm以上伸びたが、下肢長のほうが前胴長より増大率が高いので、最近の若者に足(脚)の長いものが増えたという実感と重なる。同様に、上顔部の頬骨弓幅(横幅)に比べると下顔部の下顎角幅(横幅)の増加率は低いので、現代若者の細面(下顔部が細い)を印象づけていると思われる。

また、ちょうど50年前の1953年、伊東絹子さんが ミス・ユニバース世界大会3位に入賞したのを機に、8頭身という言葉が日本に定着した。現代ではどうだろうか。この頭身と背の高さの関係を見ると、164cm前後の人は平均7.2頭身に対して、180cm前後では平均7.6頭身と、高身長になるほど8頭身に近づいていることがわかる。しかし、実際に顎が小さくなったわけではないことはいうまでもないだろう。

いいかえると、小顔ブームは実測値がつくったのではなく、私たちの願望が相対的な印象と一致したことによって増大して引き起こされた現象といえるのではないだろうか。■



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