Insight時代を解くキーワード Presented by 関西電力
| HOME | このサイトについて | メルマガサンプル | 談話室 | 配信申込・解除 | お問い合わせ・ご意見 |
関西電力HPへ
Main Column Break Close up エナジー News Clip 関西電力 講堂(イベント/セミナー)
 

Break
 
村澤 博人
村澤 博人

むらさわ ひろと 顔・化粧文化研究所所長
1948年長野県生まれ。埼玉大学理工学部化学科卒。ポーラ化成工業研究所入社。ポーラ文化研究所設立に参画、同研究所「化粧文化」編集長、主席研究員などを経て、2002年独立。化粧文化史家、化粧文化エッセイスト、日本顔学会理事、国際服飾学会理事をはじめ、立教大学・日本大学・聖心女子大学・松蔭女子大学などの講師も務める。主著「美人進化論」「顔の文化史」「これが『わたしの顔』」など。

ホームページ


■外見と美の研究(2)
「横顔の美が日本人にはない」

2002.12.01

「日本人に横顔がない」と私が主張しはじめたとき、「日本人は顔が平面的だから当然」と人類学者に説伏させられたことがある。日本人が横顔を議論しはじめたのは美術解剖学者の西田正明が最初のようで、『顔の形態美』(1942)に収録されている。ヨーロッパで発達した美術解剖学から日本人と西洋人と比較して、西洋人と違うのは「顔面全体の構成が立体的でないと云う事こそその要因なのである」と結論づけている。以来、顔の形態的特徴が美意識を決定しているという考え方が支配的になっているようだ。

もしそうだとしたら、少なくとも顔立ちの似ている東アジアに住む日本人、韓国人、中国人は同じような美意識をもたなければならない。それは納得できない。たとえば、服装、その着こなし、立居振舞は似ているようで、ずいぶん異なっているように見える。

そこで、1990年、大坊郁夫現大阪大学大学院教授、趙金庸珍ソウル教育大学教授、のちに李当岐現清華大学美術學院教授(北京)も加わって、ポーラ文化研究所の研究として東アジアにおける美貌観比較研究をスタートさせた。結果の一部は前回触れているが、今回のテーマである「横顔」に関して紹介しよう。念のために、この調査では日本人、韓国人、中国人12人ずつ計36人、それぞれの正面顔、斜め横顔、真横の顔の写真を1枚の写真に取り入れ、写真を見て、嫌悪・美醜などの印象評価、どの向きの顔の印象が強いかを男女大学生に評価してもらった。

男性の結果は、 日本人では正面、斜め横、横顔の順に、58%、37%、5%に対して、韓国人では48%、42%、10%、中国人では49%、40%、12%で、女性もほとんど変わらなかった。つまり、日本人は正面中心に(他の結果も合わせると)平面的に見がちなのに対して、韓国・中国人は正面のみならず斜め横もよく見ており、真横も関心をもち、顔を立体的にとらえている傾向があることがわかった。

日本人は『紫式部日記』時代に中高(正面から見て真ん中=鼻が高い→美人)という言葉を登場させて以来、いまだに正面中心の見方から変わっていないように見える。

いずれにしても、形態的な特徴よりも社会的文化的な要因による違いが存在していることは想像に難くない。言い方を変えると、同じような形態をもちながら、なぜ異なる美意識が発達したのか、顔やからだ観の違いの研究を含め、今後の大きな課題である。■



Columnカテゴリ検索
政治・外交
経済・経営
社会・生活
文化・文明
科学・技術
電力・エネルギー
関西
サイト内全文検索
最近のBreak

Insight時代を解くキーワード
Copyright (C) 2002-2008 KEPCO THE KANSAI ELECTRIC POWER CO., INC.