02 電気をつなぐ/架空送電 地上約100メートルでの“匠”の技~ヘリコプターを利用した送電線の新設工事~

地上約100メートルでの匠の技~ヘリコプターを利用した送電線の新設工事~

岐阜県北部、飛騨高地の川上(かおれ)岳を源流とし、数々の支流と合流しながら最終的に富山湾に注ぐ「神通川」。神通川流域は、日本でも有数の多雨地帯で豊富な水量を誇っており、当社は神通川水系に6つの水力発電所を有しています。神通川水系の発電所で発電された電気を関西の皆さまにお届けする「飛騨旧幹線」と「飛騨新幹線」の鉄塔は、古いものでは建設から約90年を経過するものもあり、高経年化が進んできていました。

そこで、鉄塔の高経年化への対応とともに今後の保守面での合理化も見据えて、旧幹線と新幹線が平行している約12キロメートルの区間に30基の鉄塔を新設し、2つの線路を統合するプロジェクトの実施を決定しました。現場のほとんどが山間部であることから、資材や重機を搬入するためのルート確保から始まり、鉄塔を建設するための基礎工事や、クレーンを用いた鉄塔の組立て工事などの工程を経て、30基の鉄塔建設が完了するまでには4年の工期を費やしました。

鉄塔と鉄塔との間に電線を張る「架線工事」の主役は、高所作業のプロフェッショナルである、通称“ラインマン“と呼ばれる作業員です。
 鉄塔間の距離は、長い場合で500メートル近くあり、しかも付近には樹木が生い茂っていることなどから、電線を張るためにヘリコプターを利用します。しかし、電線は重量物であるため、ヘリコプターで運ぶことが困難です。そこで、その代わりとして、ヘリコプターで運べる軽いナイロンロープを鉄塔間に張っていきます。

ラインマンは、高いものでは100メートル以上にも及ぶ鉄塔を自力で頂上まで昇っていき、ヘリコプターがナイロンロープを運んでくるのを待ちます。ヘリコプターが近づいてくると、待機中のラインマンは、垂れ下がるナイロンロープを着実にキャッチし、慎重かつ迅速に鉄塔の先端へロープを固定していきます。作業が終わり、空中で静止していたヘリコプターが次の鉄塔へ向かって再び動き出すまでは、時間にしてわずか3分ほど。残されたラインマンは、次の工程のためにナイロンロープを滑車へ乗せ替えます。滑車を通じてナイロンロープを巻き取ると同時に段階的に電線を張っていくのです。

電線は重いため、鉄塔に張られたナイロンロープとは、直接引き換えることができません。まず、ナイロンロープをワイヤーロープという強くて丈夫なロープと引き換え、最終的にそのワイヤーロープを電線と引き換えます。引き換え作業は、ワイヤーロープや電線を送り出すドラム場・巻き取るエンジン場と、各鉄塔上で同時平行で行われます。送り出す側と巻き取る側、各鉄塔上の作業員には、息を合わせた機械の操作や作業が求められます。

直径わずか3センチメートル!!~手に汗握る緊線作業~

鉄塔に電線が架かると、このプロジェクトもいよいよ大詰め。電線を張り上げて、設計どおりの弛みになるように調整する「緊線作業」を残すのみとなります。この作業は、電線1本1本、ラインマンの熟練の技によって行われます。地上約100メートルの高さで、直径わずか3センチメートルの電線にまたがり、緊線作業を行っていくラインマン。4ヶ月間掛けて、全区間の架線工事を無事故・無災害で終えました。

発電所で発電された電気をみなさまにお届けするために必要不可欠な送電線。そんなライフ“ライン"を守り抜くという強い想いをもって、今日もどこかでラインマンは鉄塔に昇っています。

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