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おおい町の語り部たち

川 上

  大滝まつり

渡辺 淳さん
語り部
渡辺 淳(すなお) さん
 雨乞いの仏事が、カタチを変えて蘇る!

  「高いところに滝つぼがありましてね、その滝つぼの水を換えると、雨が降るという言い伝えなんです。つまり雨乞いの儀式ですね。小学2年生の頃から覚えていますが、渓谷沿いの狭い道を太鼓を叩きながら滝へ登り、和尚さんの後を、僕らがついて歩いていく。広場でお菓子をもらったり、お酒を飲ませてもらう。おかげで酔ってしまい、寝ころんだら、山がぐぁーと回り出しましたよ。お菓子をもらうのが楽しみだったし、太鼓を叩かせてもらえるのが嬉しくてね」と、渡辺淳さんは子供時代を懐かしそうに振り返ります。
 7月28日に行われる大滝まつりは、新鞍(あたくら)谷の大滝の上段にある滝つぼから水をくみ出し、不動明王に雨乞いを祈願する仏事。その大滝まつりも年々、参加する人が少なくなり、最近では歴代の区長が住職などを含めて2~3人で細々と行っている程度でした。その大滝まつりを、平成4年に大きく蘇らせたのが、当時の区長だった渡辺さんです。
新鞍谷の大滝
 「昭和28年の大水害以降、祭りが少なくなるにつれて、お互いのコミュニケーションもなくなってきましてね。そこで、大滝まつりを元気なものにしようじゃないかと考え、昼の行事を夜の行事に変更して松明行列を加えたり、老若男女参加できるものに形を変えました。区の人たちに提案したら賛成してもらえて決まったわけです」。
 事前の準備として大滝をライトアップしたところ、何とNHKのハイビジョンチームが撮影に来たそうです。当日は、夜7時半に頃に新鞍神社の近くから、新しく完成した林道を参加者全員が松明をもってスタート。20~30分歩いて、滝つぼの横にある不動明王の像のところで雨乞いの儀式を行います。その後、近くの広場で、子供はキャンプファイヤーをしたり、花火をして遊び、大人は車座になってお酒を飲みます。こうして誰もが夜が更けるのも忘れて楽しく遊び、歓談しあう光景がくり広げられるのでした。
 「毎年、その年の区長が中心となってアイデアを出し合い、だんだん賑やかになってきましたし、子供たちも楽しみにしているようです。私も頑張った甲斐がありました。」と渡辺さんは目を細めます。
雨乞いの儀式が行われる「新鞍谷の
大滝」。落差約37m。滝の脇に不動
明王の石像がまつられ、「不動滝」
とも呼ばれています。

キャンプファイヤー
松明行列で使った松を使って  
キャンプファイヤーも行います。

大滝まつり
引き継ぐ人
五十嵐 祖傳さん清水 鐘治さん
今までに松明2000本
を作って参加者に
手渡しました。

私たちは2人とも、区の壮年部とは別に山水倶楽部にも所属しています。山水倶楽部は保護者会が発展したもので、毎月1回水曜日に集まり、何でも自由に話し合おうという会なんですね。新しい大滝まつりには、もちろん全面的に大賛成。山水倶楽部としては、松明を2000本つくり、参加者に手渡しました。これからも区の行事をサポートしながら、活性化に貢献していくつもりです。
(左から)
五十嵐 祖傳(そでん) さん  清水 鐘治 さん

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