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おおい町の語り部たち

本 郷

  かわそさん
  (水無月祭)

猿橋康文さん
語り部
猿橋 康文 さん
 海の中で勇壮に御輿を海上乱舞

  「子供御輿(みこし)をかついだ経験はありましたが、大学時代に外に出ていた関係で、地元に帰ってから、初めて大人御輿をかついだときは、御輿ってこんなに楽しいもんやったんやと、嬉しかったですね」と語るのは、本郷青年義団の団長を務めたことのある猿橋康文さんです。本郷青年義団は、本郷地区の18歳から30歳の青年が参加し、地区の伝統行事を運営する権限が本郷区から与えられています。その本郷区の人々にとって、最大の行事が「かわそさん」と呼ばれている水無月祭です。水無月神社のご神体は、海の守り神。小浜線が開通するまでは、船で人や荷物を運んでいたため、海の交通安全を祈念したものとされています。
 7月21日・22日の両日に行われた「かわそさん」は、初日は渡御(とぎょ)の日で、日枝神社から出発した御輿をかついで街中を練り歩きます。水無月神社の跡地にある川尻に到着すると、多くの観客が見守る中、御輿をかついだまま海に入り、勇壮な海上乱舞を披露します。まさにこの祭りのハイライト。それが終わると御旅所(おたびしょ)に御輿を一晩泊めます。ちなみに初日は、小学4年生から6年生がかつぐ子供御輿もあります。そして翌日は還御(かんぎょ)といって、再び御輿をかついで日枝神社まで帰ります。
 「祭りの日は、御輿が行く先々で御神酒をいただいて、御輿をかつぐという使命感を持ちながら、おおっぴらに昼間から飲んで騒げる特別な日なんですね。でも最初の頃は酒を飲みすぎてしまうので、無事に御輿をかついで帰ると感動ものです。集落の結束を固める意味でも大きいし、また初めて参加する者にとっては、御輿をかつぐ年代になった自分を大人の人たちに知ってもらう社交会デビューの場でもあったわけです。」猿橋さんの話から、本郷区の人々にとって、かわそさんが、いかに重要な役割を担っていたかが分かります。「これを取りやめるわけにはいかないでしょうね。後輩たちには、どんなことがあっても死守しなさいと言っています」と笑う。
    御輿
「ワンヨウ!サンヨウ!」と威勢
のよいかけ声とともに、みこしを
かついで街中を練り歩きます。

奉納相撲
復活した奉納相撲。新たに作られた土
俵の上で、若者達がまわしを締め、気
合い充分の取り組みを披露しました。

かわそさん
引き継ぐ人
村松 弘康(ひろみち)さん
海の中は気持ちいいですよ。
復活させた相撲も
続けてほしい。

小さい頃から「かわそさん」を見ていて、「勇ましいな。いつかは御輿を担ぎたいな」という気持ちが強かったですね。海上乱舞の時は、胸まで海につかりますが、御輿も浮くので重くはないし、夏なので気持ちがいいものなんです。平成12年、青年義団の団長になったのを機会に、奉納相撲を復活させました。できればこれからも続けていってほしいですね。
村松 弘康(ひろみち) さん
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