プレスリリース

2013年6月20日
株式会社エネゲート
ローム株式会社
関西電力株式会社

高効率SiC無停電電源装置の開発計画の推進について~電力変換損失を3割低減する試作装置を開発~

 株式会社エネゲート、ローム株式会社、関西電力株式会社(以下、エネゲート、ローム、関西電力)の3社は、平成22年12月から、SiC(シリコンカーバイド)はSi(シリコン)に比べて電力損失が少ない点に着目しSiC製パワー半導体素子※1を用いた無停電電源装置(以下、UPS:Uninterruptible Power Supply)※2の開発に取り組んでまいりましたが、このたび、フルSiCパワーモジュール※3を用いたUPSの試作(定格容量30kVA)に成功し、本日、3社間で製品化に向けた開発計画を推進することに合意しました。

 ロームは、SiCパワー半導体素子を用いたフルSiCパワーモジュールの電力損失の低さに注目し、電力制御機器等に採用することで電力変換効率の向上が期待できることから、平成24年3月に世界で初めて量産を開始しました。
 また、UPSは、主に通信用機器、生産設備の制御装置などに広く用いられ、関西電力の発・変電所等にも設置していますが、停電時以外についても、装置内を流れる電流と電圧の交流・直流の変換を行っており、この際の電力損失の低減が課題となっていたことから、エネゲートと関西電力がフルSiCパワーモジュールを適用することについて検討していました。

 そこで今回、エネゲートと関西電力は、UPSにローム製フルSiCパワーモジュールを適用したUPSを試作し、基本的な動作を検証した結果、従来のUPSに比べ、電力変換損失を約3割低減できることを確認しました。この結果、同等容量のUPSでは、電力変換効率が国内最高水準を達成しました。

 仮に、国内のUPSが全てフルSiCパワーモジュールを適用したUPSに置き換われば、10万kWを超える電力損失が低減され、省エネ・省COに貢献できると考えております。
 今後、エネゲートと関西電力がこの試作装置をベースに、フィールド試験※4による性能検証を行い、エネゲートが早期の製品化を目指してまいります。

 なお、本試作装置の開発にあたり、エネゲートと関西電力は、回路構成や性能評価といった面で、パワーエレクトロニクス分野を専門とする大阪大学大学院の舟木剛教授のご指導を得た他、鉄道用電力変換装置※5に詳しい公益財団法人鉄道総合技術研究所のご助言を頂きました。

以 上

※1   パワー半導体素子…交流を直流に変換したり、電圧を下げたりするなど、電気エネルギーの制御や供給に用いられる半導体素子。
※2   UPS…停電等により外部からの電力供給が停止したり、入力電圧が低下したりした場合に、電源を蓄電池等に切り替え、負荷側に安定して電力を供給する装置。
※3   フルSiCパワーモジュール… 内蔵するパワー半導体素子(ダイオード及びスイッチング素子)をすべてSiCで構成した半導体モジュール。
※4   フィールド試験…電力系統に開発装置を接続して長時間運転を行うことにより、実際の使用状態における機能や長時間運転時の性能検証を行う試験。
※5   電力変換装置…電力を任意の電圧、周波数に変換する装置であり、今回開発したUPSは電力変換装置の一種。
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