プレスリリース

2011年3月4日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

 当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成23年3月3日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 第25回 定期検査中
H22年11月24日〜H23年4月下旬予定
 
2号機 50.0万 運転中  
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 第27回 定期検査中
H23年1月10日〜H23年4月中旬予定
  • ○タービン建屋内での協力会社作業員の負傷について
    詳細は2(2)のとおり
    【事象概要、原因対策のお知らせ(新規お知らせ)】
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中  
大 飯
発電所
1号機 117.5万 第24回 定期検査中
H22年12月10日〜H23年4月上旬予定
 
2号機 117.5万 運転中  
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中  
  • *定期検査中のプラントについては、定期検査開始〜本格運転再開予定時期を記載。

2.トラブル等情報について

(1)法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)

なし

(2)安全協定の異常時報告事象

発電所名  高浜発電所1号機 発 生 日  平成23年2月7日
件  名 タービン建屋内での協力会社作業員の負傷     (添付図1)

(概要)
 定期検査中の高浜1号機において、2月7日、タービン建屋内で弁を手入れする加工機を、加工機の2箇所の吊り金具にワイヤーを取り付け、チェーンブロックで吊り上げて、恒設足場から1階面へ階段に沿って移動させていたところ、ワイヤーがチェーンブロックのフックから外れたため、加工機のバランスが崩れ、加工機の下方にいた作業員の右足にあたり負傷しました。
 原因は、事前の吊り上げ作業計画の検討が不十分であったため、作業中に吊り上げ方法を変更する必要が生じ、その際に十分な検討が行われなかったことにより不適切なフックの掛け方を行い、加工機の吊り上げ移動の際、ワイヤーがフックの止め具側に移動し、止め具に加工機の重量がかかって止め具が外側に変形して隙間ができ、ワイヤーが外れたものと推定されました。
 対策として、不適切なフックの掛け方を禁止します。また吊り上げ作業にあたっては、事前にフックの掛け方などの作業手順を考慮した具体的な計画を立てるとともに、作業中に変更が必要となった場合は、作業を中断し計画を再検討することを社内規定に明記することとし、周知徹底しました。

事象概要
および
対 策 等
1.発生状況

  高浜発電所1号機は、第27回定期検査中の2月7日10時40分頃、タービン建屋(非管理区域)において、2次系制御弁のガスケット座を手入れする切削加工機(高さ約1.7m、重量約330kg)を、作業用の恒設足場(EL6.2m)から階段を使って1階面(EL4m)に降ろすため、加工機の吊り金具2箇所にワイヤーを取り付けて、チェーンブロックで吊り上げて、階段に沿って移動させていたところ、1箇所のワイヤーがチェーンブロックのフックから外れたため、加工機のバランスが崩れ、加工機の下方で加工機を一旦階段上に置くために加工機の位置調整を行っていた作業員の右足にあたり、負傷しました。
 病院に搬送し、診察を受けた結果、約3ヶ月の加療を要すると診断されました。

2.調査結果

 当該フックの外観を確認したところ、ワイヤーが外れるのを防止する止め具がフックの外側に変形し、外れ止めが効かない状態となっていました。当日行った作業前点検では、止め具に異常は認められていなかったことから、この変形は今回の作業で発生したものと推定されました。
 作業状況を調査した結果、弁の手入れを行った後、加工機を階段手前に移動させ、加工機の吊り金具2箇所にそれぞれワイヤーを掛け、それらのワイヤーを階段下方側の天井2箇所の吊り位置と階段上方側の足場手すり1箇所の計3箇所からチェーンブロックで引っ張って、加工機を吊り上げていました。
 フックが外れた階段上方側のワイヤーには、手すりからのチェーンブロックのフックを掛けた後、そのフックに天井からのチェーンブロックのフックを掛けていました。再現試験の結果、加工機の吊り上げおよび移動操作に伴い、フックに掛かっているワイヤーが止め具側に移動し、止め具に加工機の重量がかかって変形することが確認されました。
 また、作業計画を調査した結果、加工機を恒設足場に上げる際は、加工機を挟んだ階段上方側1箇所と下方側1箇所の天井の吊り位置から吊って移動させ、加工機を降ろす際も同じ方法をとる予定でした。ところが、加工機を階段手前に移動した時に、加工機が搬入時とは逆向きになったことにより、加工機の階段上方側の吊り金具と階段上方側の天井の吊り位置との間の距離が近く、十分な吊り上げ高さを得られなかったため、現場の作業員は、天井の吊り位置を階段下方側2箇所に変更するととともに、この変更により加工機吊り上げ時に加工機が階段下方側に引っ張られて動くのを止めるために、新たに階段上方側の手すりの1箇所から階段上方側に引っ張ることとしました。

3.原因

 ワイヤーが外れた原因は、ワイヤーに掛けた手すりからのフックに天井からのフックを掛けたため、加工機の吊り上げおよび移動操作に伴い、ワイヤーがフックの止め具側に移動し、止め具に加工機の荷重がかかったことにより、止め具が外側に変形して隙間ができ、外れたものと推定されました。
 不適切なフックの掛け方を行った原因は、事前の吊り上げ作業の計画の検討が不十分であったため、作業途中で吊り上げ方法を変更する必要が生じ、現場作業員の判断のみで十分な検討が行われなかったためと推定されました。

4.対策

 以下の対策を請負工事の注意事項を定めた社内規定に明記することとし、協力会社に周知徹底しました。また当社は、作業内容を確認する際、下記の点を踏まえた吊り上げ作業の計画が立てられていることを確認します。

  • ・チェーンブロックを用いた吊り上げ作業において、フックにフックを掛けることを禁止します。
  • ・吊上げ作業前の計画策定に当たっては、機器の吊り金具の位置と吊り位置の関係や、フックの掛け方など、作業手順を考慮した具体的な計画を立てます。
  • ・作業中に計画の変更が必要になった場合は、作業を中断し、作業責任者を含めて計画を再検討します。

(3)保全品質情報等

なし

以 上

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