プレスリリース

2006年7月14日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成18年7月14日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 運転中
H18年6月22日    本格運転再開
H18年6月24日    電気出力降下75%
H18年7月4日      定格熱出力復帰
【お知らせ済み】
「5A高圧給水加熱器ドレンライン逆止弁フランジ部からのわずかな蒸気漏れの原因と対策について」 詳細は2(1)のとおり。
3号機 82.6万 事故停止中[第21回定期検査中]
H16年8月9日       2次系配管破損事故により停止
(引き続き、H16.8.14〜 第21回定期検査)
H17年1月5日〜    定期検査作業中
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 第23回 定期検査中(H18.4.14〜H18.7月下旬予定)
定格熱出力一定運転で調整運転中
H18年6月28日      原子炉起動
H18年6月30日      調整運転開始
H18年7月下旬      本格運転再開予定
【お知らせ済み】
「2次系配管の点検結果について」 詳細は2(2)のとおり。
3号機 87.0万 運転中  
4号機 87.0万 運転中
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中
2号機 117.5万 第20回 定期検査中
(H18年4月24日〜H18年9月上旬予定)
 
3号機 118.0万 運転中 【お知らせ済み】
「大飯発電所3,4号機廃棄物処理建屋での火災の原因と対策について」 詳細は2(1)のとおり。
4号機 118.0万 運転中


2.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象
発電所名  大飯発電所3,4号機 発 生 日 3月22日
件  名 廃棄物処理建屋での火災の原因と対策について (添付図−1参照)
事象概要
および
対 策 等
 本年3月22日に、大飯発電所3,4号機の廃棄物処理建屋※1内で火災が発生しました。3月23日に、若狭消防本部ならびに小浜警察署による現場検証が行われ、最も激しく燃えていたのは、廃棄物処理建屋3階面(地上26m)のフィルタバルブ室※2上部の中2階にある防火シート※3や防炎シート※4などを保管していた機材整理棚の中段部であることが判明しました。

  ※1 管理区域内で発生する放射性廃棄物(固体、液体、気体)の処理を行う建屋。管理区域内で発生した廃液を処理する装置や、ドラム詰め装置などが設置されており、ポンプ、タンク、配管などが設置されている。
  ※2 廃液を処理する際に異物等を取り除くフィルタやバルブ(弁)が設置してある部屋。その上部のスペースを協力会社の物置き場(ケーブル、養生シート、エアホース、ペンキ、工具などの置き場)としても使用している。
  ※3 溶接くず等を最初に受け、火の発生を防止するためのシート。
  ※4 ブリキ板が熱を持った場合、その熱を他の部分に与えないようにするシート。

[平成18年3月22日23日 お知らせ済]

 調査結果から、出火の直接の原因を特定することはできませんでした。なお、廃棄物処理建屋3階フィルタバルブ室上部の中2階にある機材整理棚で出火し、防炎シートなどが燃えたことにより、塗料棚のスプレー缶や塗料缶などの有機溶剤の揮発成分に引火したと考えられます。これにより、火災が機材仮置場全体に広がるとともに、発生した煙やすすが建屋3階に広がったものと推定されます。

 今回の火災においては、火災の発生防止という直接的な対策にとどまらず、通報連絡や早期消火の観点からも反省すべき事項が認められたため、一連の対応について対策を講じます。


  火災の発生防止
  出火の直接の原因は特定できませんでしたが、当日の溶接作業との関連は否定できないため、溶接時に使用した防火シート、防炎シートは専用のケースに収納し、可燃物の収納場所と分けて一時保管(冷却)する運用を協力会社に周知徹底するとともに、当社社内ルールにも明記しました。
  防火に着目したパトロールを月2回程度の頻度で継続して実施しています。また、溶接作業については、所内関係者で作業場所等の情報共有を図るとともに、作業状況確認のためのパトロールを実施しています。

  火災の延焼防止
  管理区域内に必要量以上の揮発性の可燃物、危険物を持ち込まないために、一斉整理を行うとともに、管理方法をルール化します。また、可燃物、危険物を保管する専用エリアの設置を検討します。

  火災の影響低減
  当社は自衛消防隊を編成し出動しましたが、煙が充満し2次災害の発生が危惧されたことから、消防隊員が到着してから消火活動を実施しました。対策として、自主的な判断で初期消火活動を展開するため、自衛消防隊による実践的な初期消火活動訓練を消防機関のご指導も踏まえながら継続的に実施します。また、防火衣や防熱服などの警防活動用資機材について、仕様や着用基準の明確化を図っていきます。
  火災発生時の初期活動の強化を図るため、現場確認や初期消火の方法などを定めた初動対応マニュアルを整備します。
  消火活動後に当社および消防隊員で放水を行いましたが、放水による機器への影響を判断するのに時間を要しました。対策として、安全上重要な系統や機器の範囲を示したマップを作成し、機器ごとに適用可能な消火器の表示札を掲示します。
  今後、火災報知機動作時の現場確認を速やかに行うために、監視カメラの増設を検討します。


 なお、火災発生時の通報連絡に関して、火災が発生した場合の119番通報は、平日の勤務時間内は当直課長から連絡を受けた防火管理者が、それ以外は当直課長から実施することとしていましたが、今回の火災は平日の勤務時間外に発生し、防火管理者が在席していたため、防火管理者が通報し、情報が錯綜する中での通報となりました。
 対策として、より円滑に消防機関へ通報するため、平日昼・夜間、土・日・休祭日を問わず、現場状況の確認結果を最初に受ける当直課長が火災と判断した場合は、当直課長自らが119番通報することに変更します。

 当社としては、今回火災を発生させ、地域の皆さまにご心配をおかけしたことを反省するとともに、再発防止対策を確実に実施し、今後とも原子力発電所の安全運転に努めてまいります。

[平成18年7月10日 お知らせ済]




発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 6月24日
件  名 5A高圧給水加熱器ドレンライン逆止弁フランジ部からのわずかな蒸気漏れの 原因と対策について  (添付図−2参照)
事象概要
および
対 策 等
 定格熱出力一定運転中のところ、6月24日1時30分頃、当社運転員の巡回点検において、タービン建屋2階にある5A高圧給水加熱器ドレンライン逆止弁上部の保温材付近からわずかな蒸気漏れを発見しました。
 その後、保温材を取り外し、当該弁の2箇所のフランジ部からわずかに蒸気が漏えいしていることを確認しました。蒸気の漏れ量はわずかであり、運転パラメータならびに漏えいの状況に変化は認められませんでした。
 6月24日11時から出力降下を開始し、12時17分に電気出力を約75%(約37万5千キロワット)として当該加熱器ドレンラインを隔離し漏えいを停止した上で、冷却後、当該弁の点検や補修を行います。
 なお、本事象における周辺環境への影響はありません。

[平成18年6月24日 お知らせ済]

 原因調査の結果、当該弁のシートパッキンは、メーカが示す使用条件以下の環境であったものの、比較的高温・高圧の環境下で使用されていたことや、前回分解点検以降にフランジシート面の面荒れが進行したことなどから、高温・高圧のドレン水が徐々にシートパッキンに浸透し、蒸気の漏えいに至ったものと推定されます。

 今回の事象を受けて以下の対策を実施します。

  当該弁のフランジシート面の補修を行い、シートパッキンを新品に取り替えます。
  また、次回定期検査時に、当該弁のシートパッキンをより高温・高圧の環境下での使用が可能な仕様のものに取り替えます。
  今後、比較的高温・高圧条件下にある弁フランジ部について、パッキン仕様や点検頻度等について検討し、フランジ部の保守管理の充実を図ります。

[平成18年6月30日 お知らせ済]

 なお、当該弁のシートパッキンを新品に取り替えた後、系統の隔離復旧を実施し、 7月4日10時00分から出力を上昇させ、同日18時20分に定格熱出力一定運転に復帰しています。

[平成18年7月4日 お知らせ済]




(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  高浜発電所2号機 発 生 日 第23回定期検査中
件  名 2次系配管の点検結果について
事象概要
および
対 策 等
 美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、1,325箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。
 (超音波検査1,312箇所、内面目視点検のみ4箇所、内面目視点検および超音波検査9箇所:今回で未点検箇所の点検を終了)

 その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が1箇所確認されました。 この1箇所については、炭素鋼から耐食性に優れた低合金鋼の配管に取り替えました。

[平成18年6月27日お知らせ済]



3.その他情報
(1)不具合情報

   なし

(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)

   なし


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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