プレスリリース

2006年4月10日
関西電力株式会社
三菱マテリアル株式会社

10kW級低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC)のモジュール開発

 関西電力株式会社と三菱マテリアル株式会社は共同で、10kW級円形平板形低温作動(※1)固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)システムの「10kW級発電モジュール(※2)」を開発し、都市ガスを燃料とした発電試験において、熱自立状態(※3)で直流発電効率56%[LHV]と世界最高レベルの発電効率を達成しました。

 これまで、関西電力と三菱マテリアルは、平成9年度から低温作動SOFCの開発に取り組み、昨年1月に、世界最高レベルの発電効率(57.6%[LHV])を実現した1kW級発電モジュールを開発するとともに、1kW級発電システムにおいては1000時間以上の安定した連続定格運転を達成し(※4)、実用化への性能面の3つの課題である「発電出力の大容量化(数十kW)」、「発電効率」、「耐久性」のうち、「発電効率」、「耐久性」について実用化への目途が立ちました。

 そして、今回、残る課題である「発電出力の大容量化(数十kW)」に向け、モジュール内の熱バランスやガス流配を考慮し、スタックおよび発電モジュール内部構造の最適化を図った10kW級発電モジュールを開発し、熱自立状態で世界最高レベルの発電効率を達成しました。
 SOFCによる数十kW級のコジェネシステムは、他の競合機器(ガスエンジン、ディーゼルエンジン)と比較して格段に発電効率が高く、かつ排熱も高温で、90℃の温水や蒸気として回収可能であるため、熱利用としての用途も広がり、小規模店舗、小工場、事務所など幅広いお客さまニーズに応えることができると考えており、今回の開発は、関西電力と三菱マテリアルが目指すコジェネシステムの実用化に向けた、大きな前進であります。

 また、これら取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「固体酸化物形燃料電池システム技術開発」に参画して実施しているもので、今回の開発により、NEDOプロジェクトが目標とするシステム発電効率(40%[HHV])(※5)を達成できる見通しが得られました。

 今後は、発電セルや発電モジュールの更なる高性能化を目指すとともに、平成18年度末を目途に本モジュールを使用した「10kW級発電システム」を開発し、発電試験において発電効率、電気と熱を含めた総合効率、耐久性等の性能検証を実施してまいります。

(※1)
作動温度800℃以下を指す。通常のSOFCは1000℃付近で作動する。
(※2)
「発電モジュール」とは、直流電力を生成する基本構造体で、発電セルを積層したスタック、予備改質器、熱交換器等で構成される。発電モジュール、ガスや水の供給装置、制御装置、および直流/交流インバータ等で発電システムが構成される。
(※3)
外部加熱などを一切行わず、供給した燃料が持っている反応熱のみによって、発電に必要なモジュールの温度を安定して維持している状態。
(※4)
H17.1.11発表「低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC)の耐久性能を確認」。その後、平成17年4月に1kW発電モジュールにて、発電効率を60%[LHV]に更新。
(※5)
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成19年度までのSOFCシステム開発目標。LHV換算では44.3%の発電効率となる。

以  上

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