プレスリリース

2005年10月26日
関西電力株式会社

1波長あたり毎秒80ギガビットの大容量高速光通信に成功

 当社はこのたび、電力会社特有の光ファイバー設備であるOPGW(OPtical Ground Wire:光ファイバー複合架空地線)※1を用いて、116kmの区間に、毎秒80ギガビット(以下「80ギガ」という)×16波長(毎秒1.28テラビット)の速さで光信号を送ることに成功しました。1波長あたり「80ギガ」によるテラビット級の高速通信を屋外で運用中の長距離光ファイバー網で実現したのは、国内外を通じて初めてのことです。

※1:OPGW(OPtical Ground Wire:光ファイバー複合架空地線)
    送電鉄塔の最上部に敷設している、雷撃対応用の設置ワイヤ線を地線(Ground Wire)といい、このワイヤの芯に光ファイバーを通したものをOPGWという。幹線系の光伝送路として電力会社が採用している。

 当社の幹線系光ファイバーを流れる情報量は、ブロードバンドの進展※2とともに毎年増加しており、将来的には現行の1波長あたり「10ギガ」の設備では対応が難しくなると想定しています。こういった状況を踏まえ、当社は、従来から大容量高速光通信技術の開発を進めてきました。昨年、1波長あたり「40ギガ」によるテラビット級通信の実証実験に成功しましたが、さらなる設備の簡素化によるコスト削減、保守運用面の省力化を目指し、1波長あたり「80ギガ」によるテラビット級通信に取り組むこととしました。

※2:国内ブロードバンドの総情報量(総務省調べ)
   本年5月時点における国内のブロードバンド契約数の総情報量(毎秒472ギガビット)は半年間で1.5倍のペースで増加しており、来年5月には毎秒1テラビットに達する。

 1波長あたりの通信速度を「80ギガ」に高速化する場合、気象条件などにより光信号波形が劣化しやすくなる、光信号の減衰により通信可能距離が制約されやすくなるという2つの課題がありましたが、それを以下の対策により克服しました。
1可変分散制御装置の開発
  気象条件、特に温度による光ファイバー特性の変化(分散)をリアルタイムに検出し、これに応じて受信側の装置を適応制御(可変分散制御)して、光信号波形の劣化を低減することで、安定した通信を可能にしました。
2分散補償光増幅装置の開発
  高速通信では伝送路に分散補償ファイバー(分散を相殺して光信号波形の劣化を低減する機能を持つ光ファイバー)を挿入しますが、これを利用して光信号を増幅する技術を適用することで、中継距離60km以上の通信を可能にしました。

 このようなテラビット級長距離通信が実現すれば、電力設備監視においては遠隔無人箇所の多数の電力設備を高詳細の画像でリアルタイムに監視したり、一般業務においても映像を駆使した臨場感のあるコミュニケーションを取ることが期待できます。また、電力事業用にとどまらず、株式会社ケイ・オプティコムをはじめとした通信会社のサービスを通じて、地域の皆さまにとって利便性の高い通信環境を実現することができます。今後、当社は、本技術を大都市間の幹線系通信用として実用化することを目指し、さらに実証実験を重ねていく予定です。

以 上
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