プレスリリース

2005年8月24日
関西電力株式会社

美浜発電所3号機2次系純水系統でのトリチウムの検出について

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は、美浜発電所3号機事故により停止中(第21回定期検査中)ですが、8月23日、管理区域内(補助建屋)ホット化学室で、定期的に実施している、1次系純水の放射能濃度(トリチウム)を測定するためのバックグラウンド確認のため、2次系純水の放射能濃度を測定したところ、通常は検出限界値未満であるトリチウムが微量検出(約7.87×10Bq/cm)されました。なお、1次冷却水に通常含まれるγ核種は検出限界値未満でした。(前回、8月5日の測定ではトリチウムは検出されていない。)
 このため、直ちに中間建屋や管理区域内(補助建屋)への2次系純水の供給を停止しました。その後、2次系純水を供給している各系統の水について調査を行った結果、2次系純水を貯留している2次系純水タンク水ではトリチウムは検出されませんでしたが、中間建屋や管理区域内(補助建屋)の系統に供給している水からは、トリチウムが検出されました。また、A,B-ディーゼル発電機のシリンダ冷却水(2次系純水)、およびB-ディーゼル発電機室のサンプ水からもトリチウムが検出されました。このサンプ水は、一定量貯留した後、構内排水処理装置へ移送し、1,2号機放水口から放出されており、この構内排水処理装置(高性能油分離槽)への移送配管残水からもトリチウムが検出されました。このため、サンプ水の移送は当面実施しないこととしました。
 以上のことから、微量のトリチウムを含む2次系純水が、一時的に管理されずに放水口から放出された可能性があると推定されました。
 前回の測定(8月5日)以降、ディーゼル発電機室サンプ水の移送実績から推定すると、管理されずに放出されたトリチウム量はおよそ1×10Bqと評価されました。なお、美浜発電所から放出される液体廃棄物のトリチウム量は平成16年度実績で1.57×1013Bq(年間放出管理基準値は1.2×1014Bq)であり、今回の放出量はそれらと比べて十分低く、周辺環境への放射能の影響はありません。
 今回検出された2次系純水のトリチウム濃度や、γ核種が検出されないことから、1次系純水系統の水(トリチウム濃度約1.8×10Bq/cm)が、2次系純水系統に混入した可能性も想定されますが、今後、2次系純水へのトリチウムの混入経路について詳細に調査を実施していきます。

バックグラウンド
  自然界における放射能濃度のことで、1次系純水は2次系純水から製造するため、1次系純水の放射能濃度を測定する際に、2次系純水の放射能濃度を測定する。
2次系純水 1次系および2次系の機器で使用する水(放射能を含まない)。
トリチウム 陽子1個、中性子2個の原子核からなる水素の放射性同位体(半減期は約12年)で、原子炉内では、核分裂、冷却水中の重水素の中性子吸収、制御材であるホウ素(ボロン)の中性子反応などによって生成され、1次冷却水中に含まれている。宇宙線などによっても生成されることから、自然界(水中)にもわずかであるが存在する。

以 上

プレスリリース