プレスリリース

2003年10月24日

高浜発電所2号機の定期検査状況について(第3低圧タービン入口配管フランジ部からのわずかな蒸気漏れの原因と対策)


 高浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット 定格熱出力244万キロワット)は、平成15年8月1日から第21回定期検査を実施中ですが、10月20日に原子炉を起動し、10月22日15時02分より調整運転を開始しておりましたが、同日21時30分電気出力20%で保持中のところ、第3低圧タービン入口配管フランジ部の2箇所からわずかに蒸気が漏れていることを確認しました。
 当該フランジ部の増し締めを実施しましたが、漏れが止まらないため、10月22日23時40分に出力20%から出力降下を開始し、10月23日1時31分に発電を停止、同日2時33分原子炉を停止し、点検を開始しました。
 調査の結果、当該フランジ部のうち、下流側(第3低圧タービン側)アスベストパッキンについて、約1/4周分が欠損しており、その影響で蒸気が漏えいしていました。
 また、フランジ近傍に欠損したアスベストパッキンが見当たらないことから、下流の第3低圧タービンへ流入した可能性があります。
 なお、今回の事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
[平成15年10月23日 お知らせ済]

1.調査結果

(1)
上流側(湿分分離加熱器側)アスベストパッキン(以下パッキン)については、異常は認められませんでした。
(2)
下流側(第3低圧タービン側)パッキンについて、約1/4周分が欠損しており、その影響で蒸気が漏えいしていました。
(3)
欠損したパッキンが見当たらないことから、当該フランジ下流側機器での回収作業を実施した結果、第3低圧タービン第1段静翼部で欠損したパッキンを発見しました。発見したパッキンの形状や重量から全量回収したと評価しました。

2.推定原因
(1)
蒸気が漏えいした原因当該フランジとスペーサ間のパッキンの一部が欠損していたため、漏えいしたものと推定されます。
(2)
パッキンが欠損した原因 発見されたパッキンの表面を観察した結果、正規位置に取り付けられた場合にパッキン表面に残る締め付け跡が、発見されたパッキンの大部分には認められませんでした。このことから、パッキンは正規の位置から配管内部に大きくはみ出す形で取り付けられており、はみ出した部分が配管内部の蒸気流から大きく力を受けたため、引きちぎられたと推定されました。
(3)
正規の位置に取り付けられなかった原因パッキンを貼り付けたスペーサを吊り上げて取り付ける際、吊り位置がスぺーサの中心ではなかったため、斜めに吊り上げられた状態で作業を行っていました。このため、スペーサがフランジ部と接触し、パッキンがめくれた状態で取り付けられたと推定されました。

3.対策

(1)
今回欠損が認められたパッキンのフランジおよび類似のフランジの作業要領書に、組み立て後にパッキンが正しく装着されていることを確認することを追加します。
a. パッキンのつばが4箇所ともフランジ外周面と同じ位置にあることを確認します。
b. 取り付け後のパッキンの4箇所(つばとつばの間)について、直尺を挿入し、パッキンの端面位置を確認し、パッキンが正しい取り付け位置であることを確認します。
(2)
スペーサの斜め吊り防止の観点から、今回の復旧時、スペーサを鉛直に吊ることができるスペーサ用補助吊り具を使用して組み立てます。また、次回定期検査からは、スペーサを鉛直に吊ることができるように吊り位置を変更します。
(3)
再発防止の観点から、
a. 作業面での改善活動については、これまで協力会社の意見を聞く機会を作ってきましたが、今後は協力会社の現場作業員の意見を聞く機会を増やしていくとともに、作業員からも改善意見が自主的にあがるようにしていきます。
b. また、協力会社の方々に対し、発電所の運転に影響を与えるような重要な作 業を実施しているという自負を持って作業にあたるよう再度お願いしてまいります。  

対策実施後、10月25日未明に原子炉を起動し、同日、臨界および調整運転を再開する予定です。

以 上

<参考資料>


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