プレスリリース

2000年12月11日

大飯発電所2号機 プラント排気筒モニタの指示変化に
関する原因と対策について

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉、定格出力117万5千キロワット)は、定格出力運転中の11月30日9時18分頃、1号機および2号機の化学体積制御タンク内気相部の定期ガス分析(1回/週)を行うため、同タンクと補助建屋内の試料採取室内の試料採取装置を結ぶ連絡弁を開放したところ、試料採取室エリアモニタの指示値がわずかに上昇するとともに、同日9時23分頃からプラント排気筒ガスモニタの指示値が通常値約700cpmから約1500cpm(高警報設定値20000cpm)までわずかに上昇しました。
 このため、同9時28分当該弁を閉止したところ、同9時39分頃、指示値は正常値に復帰しました。
 なお、今回の事象により、試料採取室を経由して2号機排気筒から約1.2×10Bq(ベクレル)*注の放射能が放出されたと評価されましたが、発電所周辺の野外モニタの指示に変化はなく、環境への影響はありませんでした。

[平成12年11月30日 記者発表済]  

    *注: 大飯発電所の保安規定に定められた放出管理目標値は、年間3.7×1015Bq(ベクレル)であり、今回の放出量約1.2×10Bq(ベクレル)は、その値の約300万分の1。
    なお、平成11年度放出実績は、年間約1.2×1011Bq(ベクレル)。
 1.調査結果
   (1)外観目視点検および漏えい箇所調査
 今回開放操作を行った1号機側連絡弁および、2号機側連絡弁より下流側の点検を行った結果、1号機の試料採取ラインに設置されているドレンポットのドレン配管ねじ込み部に若干の曲がりがあることが確認されました。また、窒素加圧による漏えい検査を実施した結果、同ねじ込み部からの漏えいが確認されました。
 なお、2号機については外観目視点検および漏えい検査の結果、異常は認められませんでした。

   (2)漏えい原因の調査
・ねじ部調査
 当該ねじ込み部の放射線透過検査の結果、ドレン配管のねじ部が1〜2山程度しかねじ込まれていないことが確認されました。
 また、取り外した当該ねじ込み部のめねじ部およびその周辺の外観目視点検を行った結果、当該めねじ部下方1~2山の全周に欠損が認められました。一方、おねじ部にはめねじ側の欠損品と思われる破片が1~2山ねじ部に付着しており、先端部に約半周にわたりめねじ山が食い込んだ跡が認められました。
 さらに、1号機のドレンポットと同一構造の2号機のドレンポットのねじ込み部について調査した結果、2山しかねじ込みができないことがわかりました。
 なお、当該ねじ込み箇所は、ドレンラインを追加するためにねじ加工(4山)を特別に注文した製品でしたが、その要求が適切に工場加工時に反映されなかったものと推定されました。

・作業状況調査
 当該ねじ込み部は、設置以降分解・組立をしていませんでしたが、1号機第16回定期検査(現在実施中)において、当該ねじ込み部近傍のドレン元弁を分解・組立したことがわかりました。その際に、ねじ込み部に力が加わった可能性があることが判明したため、モックアップ試験を行ったところ、2山程度のねじ込み量では弁の分解、組立時に加わった力によりめねじ山が破損する可能性があることがわかりました。

 2.推定原因

     上記の調査結果から、以下の原因が推定されました。
  • ドレンポットのドレン配管ねじ込み部のめねじの製作において、おねじが4山ねじ込まれるよう特別な仕様にて加工すべきところ、1~2山程度の加工であったため、ドレン配管据付時のねじ込み量が1~2山程度と少なかった。
  • 今回の1号機第16回定期検査におけるドレンポットのドレン元弁の分解復旧時、ドレンポットのドレン配管ねじ込み部に力が加わり、めねじ山が破損してシール機能が喪失した。
  • その後、体積制御タンクガス試料採取のため連絡弁を開放したところ、当該ねじ込み部から漏えいに至った。

 3.対  策

  • 当該ドレンポットおよび同形状の2号機のドレンポットについて、4山以上おねじが入るように加工された改良品に取り替え復旧します。また、大飯1号機の放射性物質を含むガス系統にある当該ドレンポットと類似構造の機器のねじ部についても点検した結果、異常はありませんでした。 
  • 今後、特別な仕様のねじ込み部を採用する場合には、要求事項を明記した設計図書を提出させることとし、現場据付時において要求仕様通り製作されていることを作業責任者が確認します。
  • 今後、放射性物質を含むガス系統で機器を分解し復旧した際の漏えい確認においては、当該作業による力が作用した可能性のある範囲のねじ込み部を念入りに確認することとし、作業要領書に明記します。

以 上  

    (通商産業省によるINESの暫定評価)
    INES:国際原子力評価尺度
    基準1 基準2 基準3 評価レベル
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<参考資料>
系統概要図
ドレンポットドレン配管ねじ込み部状況
事象発生メカニズム
ドレンポット対策状況図
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