プレスリリース

2000年4月24日

美浜発電所2号機の点検結果について(化学体積制御系抽出水配管からの漏えいの原因と対策)

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格出力50万キロワット)は、定格出力運転中のところ、4月7日9時55分頃、発電室員による格納容器内点検(定期点検)において化学体積制御系の抽出水配管から、わずかな水漏れが発見されました。
 このため、詳細な点検・調査を行うため、4月7日12時00分から出力降下を開始し、同日19時00分に発電を停止しました。
 今回の事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
 その後、水漏れが認められた箇所の保温材を取り外し、外観目視点検を実施した結果、化学体積制御系抽出水配管にあるエルボ(L字型配管)の溶接部上端付近に、周方向の長さ約20mmの直線状の割れが確認されました。

[平成12年4月7日、4月10日 記者発表済]  


1.調査結果

 (1)試験施設での調査
 当該エルボの浸透探傷検査を行った結果、エルボ背側外表面の溶接部上端に沿って21mmの指示が認められましたが、エルボ及び配管の内表面に指示は認められませんでした。
 破面観察の結果、割れは溶接部の内面端部から外表面上端部に向かい配管部を経由して貫通しており、破面は内面側より外表面の方が狭い形態でビーチマーク模様が認められました。
 これらのことから、割れは内面からの疲労割れによるものと判明しました。

 (2)現地調査
 当該エルボの上流にあるA系オリフィス(*)の点検を行った結果、オリフィス出口部において、出口端部から約35mmの範囲にわたり出口端部に向かって広がるテーパ状の減肉が認められました(出口端部で直径約20mm)。
 なお、当該部以外の抽出水配管についての非破壊検査及びサポート点検等を行いましたが、異常は認められませんでした。

(*)オリフィス:抽出水の流量を調整する管状の設備

 (3)運転履歴調査
 抽出水系統の運転履歴(温度、圧力、流量)の調査を行った結果、運転中においては温度、圧力、流量等ほぼ一定となっていますが、定期検査時等のプラント起動、停止の際に抽出水流量を変化させる際(抽出切替)、一時的にオリフィス下流側の圧力を通常約2.3MPa(約23kg/cm2)から約1.0MPa(約10kg/cm2)に低下させていることが分かりました。

 (4)流動試験
 抽出水配管系統を模擬した試験装置を用いて実験を行った結果、オリフィス下流側の圧力を約1.0MPa(約10kg/cm2)に低下させた場合、オリフィス出口側内部で多くの気泡が発生(キャビテーション)し、その発生・消滅に伴い、圧力変動が起こることが分かりました。
 また、オリフィス出口部が今回認められた程度にテーパ状に広がった場合には、オリフィス下流側の圧力が通常の約2.3MPa(約23kg/cm2)であっても、出口側内部で多くの気泡が発生し、圧力変動が起こることが確認されました。

 (5)割れ発生進展評価
 流動試験で得られた圧力変動をもとに、エルボ溶接部の内面端部にかかる応力を評価した結果、発生応力は割れの疲労限度を上回っており、当該部で割れが発生し進展することが確認されました。

2.推定原因

 (1)オリフィス出口部に減肉が認められた原因
 オリフィス下流側の圧力を下げた際にオリフィス出口側内部で発生したキャビテーションにより、オリフィス内面の減肉が発生し、その後進行したことにより、テーパ状になったものと推定されました。

 (2)エルボ溶接部に割れが発生した原因
 オリフィス出口部での減肉の進行により、キャビテーションが発生することに伴う圧力変動が大きくなったため、当該部での発生応力が疲労限度を越え、割れが発生進展したものと推定されました。

3.対  策

  • 減肉の認められたA系統のオリフィス及び、当該エルボを含む抽出水配管を、新品に取り替えます。
  • 抽出切替時に、オリフィス出口圧力をキャビテーションを発生させる圧力まで低下させないよう、運転操作の見直しを行います。

対策実施後、4月28日昼頃原子炉を起動し、同30日頃定格出力に復帰する予定です。

以 上  

    (通商産業省によるINESの暫定評価)
    INES:国際原子力評価尺度
    基準1 基準2 基準3 評価レベル
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<参考資料>
原子炉格納容器内概要図
エルボ,オリフィス部観察状況図
オリフィスの減肉および割れ発生メカニズム

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