プレスリリース

2000年2月25日

大飯発電所2号機の点検結果について(タービン手動停止に伴う原子炉停止の原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉、定格出力117万5千キロワット)は、復水器点検のために電気出力60%にて運転中のところ、2月19日10時35分頃から復水器の真空度が低下しているのを運転員が確認したため、同日10時46分より発電機出力の降下を開始しました。その後、復水器の真空度が約580mmHg[約77.3kPa]まで低下していると判断し、同日10時49分、タービンを手動停止し、それに伴い原子炉が停止しました。運転員がコンピュータ監視画面(CRT)の指示の表示を見誤った可能性が高いと推定されました。

 なお、この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。

[平成12年2月19日記者発表済]  

  1. 調査結果
     今回の運転操作について、以下の事実が判明しました。
     海水漏れ込みに伴う復水器の点検を実施していたところ、2月19日10時35分頃から、復水器真空度が低下傾向にあることが確認されたため、運転員は復水器細管の万一の損傷と異常の発生に備え、監視強化を行っていました。
     運転員が監視していたCRT監視画面は、発電機出力と復水器真空度が並べて表示されており、同日10時46分時点の発電機出力は約700MW、復水器真空度は約727mmHg[約96.9kPa]でした。この時点で、運転員はCRT監視画面における発電機出力と復水器真空度のデジタル表示を見誤り、復水器真空度が700mmHg[約93.3kPa]に低下したと認識し、発電機の出力降下を開始しました。その後も運転員が見誤りに気づかなかったため、実際の真空度が約727mmHg[約96.9kPa]であるにもかかわらず、約580mmHg[約77.3kPa]まで低下したと理解し、当直課長もこれを追認したため、真空度の維持が困難と判断し、タービン保護の観点から同10時49分に、タービンを手動停止しました。

  2. 推定原因
     今回の運転では、発電機出力を60%(約705MW)として復水器の点検作業を行っておりましたが、その際復水器の真空度が徐々に低下する事象が発生しました。その運転操作において、運転員がCRT監視画面上で隣り合わせになっていた発電機出力を復水器真空度と見間違え、復水器真空度が急激に低下したものと理解し、当直課長もこれを追認して、真空度の維持が困難と判断したためにタービンの緊急手動停止操作を行ったことが分かりました。

  3. 対  策
     今回、運転員がCRT監視画面の指示表示を見間違えたことから、以下の対策を実施することとしました。
    • 今回のヒューマンエラーを教訓として、運転員の基本動作が確実に行えるよう訓練を実施するとともに、直内連携の重要性の観点から分析を行い、教育メニューを充実します。
    • 見誤りする可能性のあるパラメータの配列を分離する等、CRT画面の改善を実施します。

     なお、復水器の真空度が最初に低下した要因については、B-復水器真空ポンプのエゼクタ凍結防止用ヒータの断線他により、性能が低下したことによるものと推定されました。よってヒータを新品と取り替える等の対策をとることとしました。

     2月27日深夜から原子炉を起動し、3月1日未明頃に定格出力に復帰する予定です。

以 上  

    (通商産業省によるINESの暫定評価)
    INES:国際原子力事象評価尺度
    基準1 基準2 基準3 評価レベル
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