原子力発電について
美浜発電所3号機事故について

第9回 原子力安全検証委員会

第9回原子力安全検証委員会では、「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の発展的な再整理状況」、「ロードマップの詳細計画の整備状況および進捗状況、ならびに社達の理念を踏まえた具体的な実施状況」について審議が行われましたので、その結果をお知らせいたします

※「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組みのさらなる充実」のことであり、平成27年度上期の進捗状況については、平成27年11月11日にお知らせ済み。

1.日 時
平成27年11月27日(金)13時30分から16時30分
2.場 所
関西電力株式会社 本店
3.出席者(敬称略)
(委員長)
[社外] 渡邉 ( わたなべ )   一弘 ( かずひろ ) (弁護士)
(委員)
[社外] 安部 ( あべ )   誠治 ( せいじ ) (関西大学教授)
[社外] 岩崎 ( いわさき )   日出男 ( ひでお ) (近畿大学名誉教授)
[社外] 加賀 ( かが )   有津子 ( あつこ ) (大阪大学教授)
[社外] 橋詰 ( はしづめ )   武宏 ( たけひろ ) (ジャーナリスト)
代表取締役
副社長執行役員
生駒 ( いこま )   昌夫 ( まさお )
取締役
常務執行役員
勝田 ( かつだ )   達規 ( ひろのり )

4.冒頭挨拶

 渡邉委員長挨拶骨子
  • ○「原子力安全検証委員会」は、これまで美浜発電所3号機のような事故を二度と起こさせないという考えを原点に、関西電力が行う再発防止対策に対する検証はもちろんのこと、原子力発電の更なる安全性の向上を目指した多種多様な取組み、とりわけ、その安全文化醸成活動や自主的・継続的な安全への取組みに対し、中立的かつ客観的立場から、様々な意見を述べてきた。
  • ○原子力発電を取り巻くわが国の状況は、前回委員会の開催以降、大きな動きがあった。まず、新規制基準の下、わが国で初めて、九州電力 川内発電所の1号機が8月に、2号機が10月に再稼動を果たし、わが国のエネルギー政策において、原子力発電が一定の役割を果たし始めている。また、関西電力も、高浜発電所が「工事計画認可」を受け、高浜3号機が8月に、4号機が10月に「使用前検査」が開始される等、新規制基準に関する審査が着実に進められている。さらに、美浜発電所につきましても、原子力規制委員会の場で八木社長が美浜発電所3号機の40年超運転に関する考え方を陳述する等の動きもあった。
    その一方で、高浜発電所の再稼働差止め請求に関しても異議審が進められ、裁判所の判断の行方にも注目が集まっているところである。このように状況はダイナミックに変化しているが、本委員会に期待されている「関西電力における原子力発電の安全性向上の取組みを検証・確認する」という役割は変わることなく、むしろ今後ますます増していくのではないかと考えている。
  • ○本日の委員会における検証テーマは、「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の発展的な再整理状況」、「ロードマップの詳細計画の整備状況 および 進捗状況 ならびに 社達の理念を踏まえた具体的な実施状況」の2つであるが、これらについて、「風化防止が取り組まれ、継続的な改善が図られているか」、
    「社達の「ここまで出来たから安全であると考えるのではなく、どこまで安全性を高めても、まだリスクは残っていることを常に意識し、原子力発電の安全性を持続的に向上させなければならない」との考え方がさらに浸透し、具体的な活動が実施されているか」、および「ロードマップの詳細計画が整備され、それに従って進捗しているか」といった視点から検証する。各委員からは、専門分野の眼、あるいは社会一般の眼から、活発かつ忌憚の無いご意見、ご助言を頂きたい。

5.議事概要

5-1.美浜発電所3号機事故の再発防止対策の発展的な再整理状況
美浜発電所3号機事故の風化防止対策の発展的な再整理状況について、原子力事業本部から報告し、審議。

<報告内容等>
<意見>
  • ○美浜発電所3号機事故再発防止対策の見直しの中において、「継続」と記載されているが、この「継続」という表現では、単に同じことを繰り返しているようにみえるので、バージョンアップしてきているものは、そのことを明確にしていただきたい。(渡邉委員長)
  • ○美浜3号機事故の歴史をいかしながら、新しいことが加わったという印象があればよりよい。踏襲することは大事だが、勢いを感じさせることが必要だと思う。美浜3号機事故から次の新しいステップに移っていることを感じさせるために、全部は無理なのでどこか一部分でも、新しさを感じさせる言葉があれば、効果的で、さらによくなると思う。(橋詰委員)
  • ○原子力の安全の捉え方をみていると、過去の事例や対策に固執し過ぎている気がする。日進月歩で技術が進歩しているので、新しいものはどんどん取り入れて、完了したものはどんどん削っていった方が、むしろ積極的な安全性向上につながるのではないかと思う。(安部委員)
  • ○美浜発電所3号機事故再発防止対策の14分類の行動計画、29項目の実施項目について、定期的に見直す仕組みやルールを明確にしておく必要がある。(岩崎委員)
  • ○協力会社の方に美浜発電所3号機事故のライブラリを提供したことについて、レスポンスはどうか。協力会社の方の意見等をフィードバックして、提供の仕方や内容を考えることが必要である。見ていただいていなければ、提供の方策等を考えることも大事である。(加賀委員)

5-2.ロードマップの詳細計画の整備状況および進捗状況、ならびに社達の理念を踏まえた具体的な実施状況
原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組み状況について、総合企画本部から、また、同監査結果について経営監査室から報告し、審議。

<報告内容等>
<意見>
(ロードマップの報告書)
  • ○ロードマップの報告書においては、活動計画を明記するとともに、達成状況をどのように評価するかという評価方法と、評価結果を記載していくことが必要である。(岩崎委員)
(リスクコミュニケーション)
  • ○リスクコミュニケーションについて、実施回数や意見の数等だけで評価するのではなく、今後は、話をした内容やそれに対する相手からの反応などを踏まえ、リスクコミュニケーションの目的に照らして、実施した効果があがっているかどうかの評価を委員会へ報告していただきたい。(渡邉委員長)
  • ○リスクコミュニケーションを実施するにあたり、原子力発電所の是非やバックエンド問題(放射性廃棄物処分等の問題)なども含め、国で議論されているような議題も含めることが、信頼を獲得する上で重要である。今後、リスクコミュニケーションを発展させる際、対象とする内容や、対象とする層、その展開方法等を整理し、見通しを立てておいた方が良い。(安部委員)
  • ○リスクコミュニケーションの活動に関して、住民の皆さま等から意見をいただき、それに対して真摯に対応している様を公表すれば、さらに信頼感を得ることができるのではないか。(加賀委員)
(防災訓練・避難訓練)
  • ○防災訓練・避難訓練については専門知識を持った者が継続して担当することが望ましい。しかしながら、行政側は短期間で担当が交替することを考慮すると、電力においては、専門的な協力体制を構築し、自治体、役所等と継続して連携することが重要である。(安部委員)
  • ○防災訓練・避難訓練にあたっては、自治体への協力内容を明確にするとともに、具体的な項目に絞った訓練を実施し、内容を丁寧に説明することによって、万一避難するようになった場合でも地域の人々が混乱に陥らないようにして欲しい。
    防災訓練・避難訓練に関して、地域と地道に定期的にコミュニケーションを図っていくことが非常に重要である。(橋詰委員)
(リスク分析・評価)
  • ○INSS((株)原子力安全システム研究所)は、原子力分野におけるリスク評価(国際情報のスクリーニング等)において、重要な役割を果たしていると思う。
    リスク評価は系統的、専門的にする必要があり、関西電力のリスク分析、評価において、INSSは要の組織であるので、長い目で見て、是非INSSを残していってほしい。(安部委員)
  • ○リスクを特定するために充実したプロセスは大切なものであり、プロセスの実施状況や評価を確認していくことが必要である。(加賀委員)

5-3.原子力安全検証委員からいただいたご意見を踏まえた取組状況
原子力安全検証委員からいただいたご意見に対する取組状況について報告し、審議・了承。

<報告内容等>
<意見>
  • ○「継続的な改善」には、今までのやり方の踏襲ではなく、さらなるスパイラルアップという意味を含んでいる。そのためには、今までの活動を振り返り、得られた成果と残された問題を明確にした上で、引き続きしっかりと取り組んでいただきたい。(岩崎委員)

渡邉委員長
渡邉委員長

第9回原子力安全検証委員会の様子
第9回原子力安全検証委員会の様子

 

以 上

<参考資料>
越前若狭のふれあい 特別号

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用語解説

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