忘れない、あの日の記憶。

1995年1月17日早朝。
神戸市に住む藤田さんは、3歳の娘を抱っこしながら、途方にくれていました。
就寝中に突然襲った大きな地震”阪神・淡路大震災”。
幸い、住んでいたマンションに大きな被害はなかったものの、電気はつかず、ガスも水道も使えない状態でした。
本や小物が散乱した部屋で、藤田さんは毛布と布団で娘を包むようにして温めていました。

その頃、様変わりしてしまった神戸の町を歩く作業員たちの姿がありました。
地震発生直後の停電はおよそ260万軒。復旧のために現場に向かうものの、
ビルや家の倒壊によって道はふさがれ、現場にたどりつくことすら難しい状況でした。
無事現場に着いたとしても、日頃の訓練や経験をはるかに超えた現場の連続…。
近所の住人から「そこにはまだ人が埋まっとるんや」と声をかけられ、胸を詰まらせることもありました。
「一刻も早く、そして安全に電気を届けなければ」その思いだけが、彼らを作業へと駆り立てていたのです。

1月18日夜。
ようやく藤田さんの家にも電気がつきました。
「電気ってこんなに明るかったんや。安心するもんやなぁ」
約30時間ぶりについた部屋の明かりを見て、思わずつぶやきました。
娘のホッとしたような笑顔も久しぶりに見た気がします。
ふと気づくとマンションのあちこちからも拍手や歓声が聞こえてきました。
「ほんまにありがとう!これで少し安心して眠れるわー」「まだまだ大変やけど頑張ってや」
住人たちの声や笑顔が、作業員たちのエネルギーになっていました。
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18日夜7時半の時点で、停電件数は100万軒。
応急送電がすべて完了し、神戸の街に明かりが戻ったのは地震から6日目、153時間後のこと。
どのライフラインよりも早く復旧した電気。
全国から駆けつけてくれた仲間たちと、そして作業員の使命感によって実現しました。



掲載されている物語は実際の活動や出来事を元にしたものです。
登場人物は全て仮名です。

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